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美しい所作を身に付けたい



自分の日常を見つめてみると、『時短』や『ながら』で行動する癖がついていることに気がつき、これからは、もっと丁寧に日常に向きあおうと思うようになりました。タイミング良く冨田尚子さんのテーブル茶道の本に出会い、今まで興味を持つことのなかった茶道の美しい所作を、是非とも身につけたいと思えたのです。

この本で特に印象に残ったのは『名残り手(なごりて)』。相手に物を手渡したときに、すぐに手を引っ込めるのではなく、相手を思いながらゆっくりと手を離す。その余韻にこそ美しさが宿るということだそうです。こうした所作を心がけるだけでも美しい佇まいの大人になれそう。丁寧に日常に向きあうとは、こんなふうに一つひとつの動作に心をこめることでもあり、それは美しい所作となって周りの人に心地よい風を届けられることでもあると知りました。

それにしても、下の方の引き出しを膝で閉めたり、使ったタオルを洗面所の入り口から洗濯かごに投げたりして『おお、入った!』などと喜んでいるようでは、美しい所作には程遠い......。千里の道も一歩から、といいますから、まずは名残り手から。せっかく日本人に生まれたのだから、素敵な日本の所作を、遅ればせながら身につけたいと思う今日この頃です。

文 中村幸代

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