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オーケストラとの初共演を終えて〜前編〜

2018.11
文:中村幸代


昨年からオーケストラの為の大曲を作り始めて、今年の秋、オーケストラと初めての共演をさせて頂くことができました。幼い頃からクラシック音楽の教育を受けたわけでもなく、音楽大学に通ったわけでもない。小学校3年生の時に鍵盤楽器に出逢い、その楽しさからポピュラー音楽だけを続けてきた私が、憧れのオーケストラと共演できる…そんな夢のような機会を頂けるなんて!
考えれば考えるほど自分の力ではなく『頂いたもの』なのだとしか思えないのでした。
本番2日前のリハーサルでは、指揮者を見てピアノを弾くのもオーケストラと音を出すのも生まれて初めてのことで、全然上手くいきませんでした。休憩中、オーケストラの皆さんが談笑しながら食事をとられている隅の方で、ひとりコンビニのおにぎりをかじりながら、夢が叶った嬉しさよりも、心細さと不安と情けなさで、油断したら涙がこぼれてしまいそうでした。
本番前日のリハーサルでは、気を取り直して「負けない心で、言うべきことは言う!」と、何十人もの奏者のみなさんを前に“自分の曲をどう演奏してほしいのか”を熱く語り、ピアノも必死に弾いて、まさに体当たり。「昨日よりはマシかな・・・。」
休憩時間、孤独な私のもとにチェロの首席奏者の方がわざわざアドバイスをしに来てくれました。そのアドバイスは、私の足りないところを的確に指摘して、改善策を提示してくださるもので、まさに目から鱗が落ちる感覚でした。そのおかげで、翌日の本番は一番良い形で共演をすることができたのでした。
人は、他人の足りないところに気付いても、それを本人に直接言うことは、なかなかしないと思うのです。「自分のため、音楽のためを思えばこそ、言いにくいことを言ってくださったのだ!本当に心の底から感謝して、頂いたアドバイスを絶対に一生忘れない!」と強く思いました。

文・中村幸代








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