こどもがぐんと成長するために必要なこと


子育てとは、教えてもらう機会もないまま、お母さんになったら突然始まるもの。昔は地域ごとに先人達の子育ての知恵が、「伝承」されていくものでした。ですが、核家族化が進んだ現代では、周りの人に相談もできず、子育てに行き詰まってしまうお母さんたちがたくさんいます。子育てで大事なことは何か。これまでたくさんのこども達と触れ合ってきた田所さんだからこそ気がついた、こどもの成長に必要なことについて、いくつかご紹介します。

こどもを伸ばすためには、良いところに目をむけて

こどもにはそれぞれ良いところがあるものですが、成長の途中で「私なんて」「僕なんて」と、自分のことを否定的に捉えてしまう子が一定数でてきます。その背景には、お母さんの発言が大きく影響していることが多いです。どの母親も、自分のこどもを伸ばしてあげたいと思う気持ちは同じ。だからこそ、ついマイナス面ばかりに目を向き、その部分を直せばその子にとってプラスになると思ってしまうのです。こどものやりたいことを頭ごなしに止め、「ああしなさい、こうしなさい」と親の言うことをきかせようとすると、こどもの自己肯定感は次第に低くなってしまいます。
こどもの成長をサポートする上で大事なことは、その子の「良いところ」に着目すること。「あなたは〇〇ができるんだから、そこを伸ばしなさい。苦手なことはしなくていいわよ」というスタンスでいると、こどもは前向きな気持ちで物事に取り組むようになり、得意な面がどんどん伸びていくようになりますよ。

「好き」のきっかけをたくさん作ってあげる

こどもにとって、好きなことや得意なことを見つけ、それを大事にすることはとても大切です。夢中になれることに自発的に取り組めるようになれば、勉強やそれ以外のことにも意欲的に向き合うようになり、そこから才能が伸びていきます。
そのためにも、親はたくさんのきっかけを作ってあげましょう。色々なものに触れる機会を作り、興味を示したらやらせてあげる。大事なのは、無理矢理やらせるのではなく、あくまきっかけを与えること。
こどもが自分で好きなことを見つけられたら、それは一生ものになります。なかなか好きなものを見つけられない子もいますが、体験は全てその子の中に蓄積されているので、何らかの形で成長させてくれますよ。

すぐに結果を求めようとしない

こどもが何かを始めると、親はすぐに結果がでることを期待しますが、そんなにすぐに結果がでるものではありません。こどもの成長はグラフのように少しずつ伸びていくのではなく、しばらく停滞しても、何かをきっかけにしてぐんと伸びます。その繰り返しです。体験を重ねることで、それが少しずつ体に蓄積され、ある日突然、輝き出すことがあります。
ですから、こどもの成長は長い目で見て下さい。そして、今ではなく、先々のことを考えてこどもに投資をして欲しいです。

興味を持てなかったお稽古事は、すぐに辞めてOK!

習い始めたばかりのお稽古事にやる気を出さないお子さんに対して、「あなたが始めたのだから、すぐに辞めるとか言わないでよ」というお母さんは多いです。ですが、その子が興味を持てなければ、一カ月ほどでもすぐに辞めてしまって構いません。
無理矢理やらされたお稽古事でも、大人になってから感謝をする人もいますが、それはまれです。お金を払うのならば、その分のことを身に付けて欲しいと思う親心は分かりますが、お子さんをお稽古事に行かせる理由を考えてみてください。こどもが好きなもの、得意なことを探すために行かせているのではないでしょうか。
「辞め癖がついてしまうのでは」「すぐに諦める子になるのでは」と心配される方も多いですが、そんなことはありません。その子にとってはその習い事が大事に思えなかっただけのこと。何年かしてまたやりたくなることもありますし、途中で辞めても、その体験は必ずその子の体の中に蓄積されているので、無駄ではありません。
始めるときに低い目標を決めて、「ここまでやったら辞めよう」などの約束をしてからスタートをするのも良いですね。お稽古事は基本的にやめてもいいというスタンスで、こどもがやりたいことをやらせてあげましょう。

「子育て=こどもを育てること」という認識を持つ方も多いですが、こどもには育てようとせずとも、もともと備っている「育つ力」があります。その力を引き出せるように、きっかけを与えたり見守ったりしながら、こどもの成長のサポーターをするような心持ちで子育てをしてみて下さいね。

<取材協力>
⽥所雅⼦さん

東京育ち
狩野川の清流に惚れて 30 年前静岡県の伊⾖に移住。
3 ⼈のこどもを⾃然の中で育てそれぞれ⾃⽴・現在孫4⼈。
お客様を声⼀つで物語の世界にいざなうストーリーテラー
4000 冊の絵本の貸し出しと昔話を語る

こども表現教室を主宰。(2020 年にオンライン化)
現在3つの法⼈運営中
①NPO 法⼈伊⾖こどもミュージアム(https://izukodomomuseum.com/)
②⼀社)マザーボイスアカデミー協会(https://mothervoice.info/)
③おとだま合同会

著書 (⼦育ての羅針盤として)
『こどもをはぐくむまぁるい声 マザーボイス』

2023

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