スロピラ®でずっと動けるカラダを作る
皆さんはスロピラ®を知っていますか?スロピラ®とはその名の通り、スローなピラティスの略で、あらゆる年齢層の方に取り入れて頂けるメソッドです。スロピラを取り入れることのメリットや、インナーマッスルを鍛えることの大切さ、自宅でできるスロピラなどをご紹介します。
ピラティスとスロピラ®の違いとは?
・ピラティス
ピラティスは第一次世界大戦の後、ドイツ人のジョセフ・H・ピラティス氏が負傷兵に向けてつくったリハビリ運動のことです。激しい運動をしなくても筋力を鍛えられるピラティスは、ある種の筋トレのようなもので、現代においては日常生活で生じた体のゆがみの改善や、インナーマッスル(体の内側にある筋肉)を鍛えることを目的にしています。
・スロピラ®
スロピラ®は上原知恵子が考案したメソッドのこと。従来のピラティスのような筋トレをメインとしたものではなく、ストレッチ中心の、骨を矯正しながら体幹を鍛えていくエクササイズです。
現代人の生活では、スマホやTVの見過ぎ、運動不足などで背中が固まりやすくなっています。意識して運動されている人でも、その大半は背中が硬くなっています。そのため、現代人は硬くなった筋肉を緩めるストレッチと、インナーマッスルを鍛えることが必要不可欠です。スロピラは体の力をぬきながら背中を中心に動かし、縮こまった背中の筋肉をゆるめてインナーマッスルを鍛えることを目的としているので、こうした問題を解決できます。また、スロピラは普通のピラティスと比べて体への負担も少ないため、80歳のご高齢の方でも行うことができます。
正しい姿勢が体の不調改善に
ピラティスはなぜインナーマッスルを鍛えることを目的にしているのか。それは、日常生活で不自由なく体を動かせるようにするためです。そのために最も大事なことは「姿勢を正す」こと。肩があがらないことや膝が弱くなったことを歳のせいだと思っている方が多いですが、実際は筋肉が弱まっているのではなく、「姿勢の乱れ」が原因になっていることが大半です。インナーマッスルは姿勢を正すために必要な筋肉なので、この筋肉をきちんと鍛えてあげることで体の不調が改善され、体も動かしやすくなります。
内臓機能の改善にも
インナーマッスルを鍛えることは、内臓機能の改善にも繋がります。例えば胃が弱い方は、食の影響だけでなく、半分は姿勢の悪さが関係していると言われています。猫背のように背中を丸め、防衛本能の姿勢をとっていると体がどんどん丸くなり、胃をかばうような姿勢になります。そうすると、そのまわりの筋肉が縮み、胃の動きを悪くさせてしまうのです。インナーマッスルを鍛えると内臓が上に上がって元の位置に戻るので、内臓の動きが良くなります。
脊柱起立筋を鍛えて正しい姿勢を保つ
正しい姿勢とは、横からみたときに背骨がS字を描くように少し湾曲している状態です。この状態を保つためには、「脊柱起立筋」を鍛える必要があります。脊柱起立筋は背骨に密着している筋肉で、上半身を起こした状態を維持したり、上半身を上に伸ばして後ろに反らせたりする働きがあります。姿勢を正すことは脊柱起立筋を鍛えることにも繋がるため、この筋肉を意識して背骨を伸ばすことが大切です。脊柱起立筋を意識しようとすると、外側にある表側の筋肉に意識が向いてしまいがちですが、実際の脊柱起立筋は何層にも重なっている筋肉の奥のほうにあります。まずは骨盤から繋がっている背骨を意識して、すっと上半身を引き上げてみてください。そうすると「くっ」とした感覚が分かるはずです。それが脊柱起立筋が伸びている状態になります。猫背になっているとS字カーブから外れた状態になってしまい、正しく脊柱起立筋を使うことができないので、この感覚を意識して姿勢を正すようにしましょう。
筋トレではインナーマッスルは鍛えられない
健康的な体を目指して筋トレに励む人も多いですが、実は筋トレはアウターマッスル(体の表面の筋肉)しか鍛えることができません。アウターマッスルは、重たいものを持つときや瞬発的に力を出したいときなど、大きな力を使うときには役立ちますが、日常生活ではあまり使うことがありません。一生懸命筋トレをしてアウターマッスルを鍛えても、インナーマッスルを鍛えることはできないため、目的に合わせたトレーニングを行うことが大事です。もちろん、筋トレや運動での健康維持も良いですが、猫背のままで筋トレなどを行うと体を痛める原因にもなるため、その点は気を付けましょう。
自宅で実践できるスロピラの紹介
・肩凝り解消のスロピラ
1.肘を伸ばしたまま手をあげる。
2.肋骨を半分ほど開くようにして後ろに手をまわす。少しねじるイメージ。(10回行う。)
3.1と同じように、肘を伸ばしたまま手を上にあげる。
4.手の平を手の甲が下向きなるように直角に倒し、後ろのほうにむけて、後ろの壁をさするようなイメージでまわす。(10回行う。)
★肩ではなく、肩甲骨からまわすことを意識しましょう。
肩甲骨を動かすことで背中の筋肉がゆるむため、肩凝りに効果的です。また、僧帽筋もゆるめることができるので、目が冴えて頭がすっきりし、仕事の効率アップも期待できます。
・骨盤まわりの筋肉をゆるめるスロピラ
上向きで寝転がる。両手はリラックスした状態で横に広げる。肩はできるだけ床から離さないように意識する。
両ひざを立て、足を肩幅に広げる。足の裏はべったりと床にくっつける。
骨盤を左右交互に足の方向にむけて斜め下に上げて、ふわふわ動かし揺らす。
※右側を動かすとき、上がっているほうの肋骨と骨盤の脇を伸ばすような感覚で左右に動かすのがポイント。上側の骨盤は床から離れても良いです。膝も左右に動いても良いですが、あくまでも足ではなく骨盤から動かすことを意識しましょう。
動かすペースはゆっくりでも早くても構いませんが、5分は行いましょう。テレビを見ているときや、就寝前に行うのがおすすめです。このスロピラを続けることで、骨盤まわりの筋肉がゆるみ、腰痛の改善が期待できます。
スロピラを継続することで、65歳までは体型を変えていくことができ、それ以降はその体型を維持することができると証明されています。まずは姿勢を正すことから初めて、ぜひスロピラのメソッドを日常に取り入れてみてください。
<取材協力>
スロピラ®講師 上原知恵子さん
20歳代舞台やテーマパークを中心にダンサーとして活動。ダンサー中に怪我を繰り返し、整体・整形外科・針に通いながら、なんとか舞台にたつが、最後は顎も開かなくなり、食事も取れない状態が続き舞台生活を辞める。
その後、治療に専念しピラティスに出会う。27歳で劇団の身体トレーニング指導の講師を務める。
現在は二児の母をしながら、舞台で演じることや、ダンス・ピラティス・ファッションショーのモデルウォーキングの指導など、幅広く活動している。
誰にでもできるようなピラティスをしたいとスローピラティス・スロピラ®︎メソッドを考案。スロピラ®︎商標登録を取り、渋谷区を中心に活動、あらゆる年齢層の女性や男性に喜ばれている。
スロピラ®︎インストラクター生の育成にも力を注ぎ、某大手芸能事務所の新人タレントの姿勢トレーニングや、ダンス・日本舞踊のレッスンの中でも、スロピラ®︎メソッドが取り入れられている。その他、船橋メグスパなど地域のイベント講師や、大手外資系で有名なIKEA小売業など、企業の社員向けレッスン講師として幅広く活動中。
からだメンテナンス「スロピラ」