家庭からの食品ロスを減らそう

日本では年間約600万トンもの食品ロスがあることを知っていますか。食品ロスはバナナの皮や魚の骨などは含まれず、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品が該当します。
また、食品ロスの約半分は家庭からのもので、金額に換算すると、4人家族の場合は年間約6万円分にも値します。食材の無駄をなくすことは、地球環境を守るだけでなく、節約にも繋がるというわけです。今回は食材を長持ちさせる保存方法と、正しい冷蔵庫の使い方についてご紹介します。

野菜を長持ちさせる保存方法

・育った環境に近い状態で保存する
野菜は育った環境に近い状態で保存すると、ストレスがかからずムダな栄養を使わないのでおいしく長持ちします。そのため、ほうれん草や小松菜などの葉野菜は、野菜室の端に立てて保存しましょう。

・乾燥から防ぐ
野菜は購入した袋のまま保存しても大丈夫です。冷蔵庫の中は冷気が流れているので、極度の乾燥状態になっています。そのため、野菜をむきだしで入れてしまうと乾燥につながります。袋やパックが破けてしまったり、使い切らずに残ってしまったりした場合は、ポリ袋に入れ替えて乾燥から守りましょう。

・レタスは芯に爪楊枝を3本刺す
野菜は収穫した後も伸びようとする性質があります。芯に成長点があるため、そこをあえて破壊することで、野菜の成長をストップさせることができます。レタスは芯に爪楊枝を3本差して成長点を破壊しましょう。そして、ポリ袋に入れて芯を下にして野菜室保存すれば3週間ほど持ちます。レタスは包丁で切ってしまうと、切り口が酸化して赤茶色に変化してしまうため、外葉から使っていくと、中はパリッとしたまま美味しく食べることができます。キャベツや白菜は芯が固いので、包丁で芯に十字に切り込みを入れれば同様に長期間保存できます。

粉類の保存方法

・小麦粉
小麦粉は基本的には常温保存でOKです。袋を少し開けた状態で保存してしまうと、湿気や虫が湧く原因になるので、しっかりとした密閉容器に入れることが大切です。冷蔵庫での保存は、出し入れをしているうちに中が結露してカビが発生しやすくなるため、おすすめしません。

・パンケーキミックスやお好み焼粉など
パンケーキミックスやお好み焼粉には、色々な食材や調味料が加わっているため、開封したものを常温で保存していると虫が湧いてしまいます。味が付いている粉は、一回で使い切るのが望ましいのですが、残ってしまった場合は、袋をしっかりと密閉して冷蔵室で保存し2週間ほどで使い切りましょう。

調味料の保存方法

・開栓日を書いておく
調味料は一度開けると空気が入って風味が変わり傷みやすくなります。表示されている賞味期限は開栓前の期限になるので、は開栓後が3ヶ月ほどで使い切るようにしましょう。外袋や瓶に開栓日をメモしておくと、忘れずに料理に取り入れることができます。ご無沙汰調味料の代表である3大ジャン(甜麺醤、豆板醤、コチュジャン)は1年ほど冷蔵庫に残っていることが多いので、これらの調味料から献立を立てて、使う工夫をしましょう。

冷蔵庫の正しい使い方

・冷蔵室の収納は7割以下に
冷蔵室は冷気がしっかりとまわることで食品が長持ちするため、空間をあけることが大切です。食材を詰め込みすぎて、後部にある冷気の吹き出し口を塞いでしまうと、ドアポケットのあたりまで冷気が届かなくなります。また、どこに何が入っているのか分からなくなると、探す時にドアを長く開けることになり、食材が傷む原因になります。

・冷凍室の収納は8割以上に
冷凍室の場合は、食材がたくさん詰まっていると冷気が逃げづらくなる上に、食品同士がお互いを冷やし合うことで、霜が付きづらくなります。逆に空間があいてしまうと、そこを冷やそうとして常に冷蔵庫が動くことになり、余計な電気代がかかります。

冷蔵庫収納の3つのルール

➀見える
不透明な容器に入っていると、どこに何が入っているか分からず、残量も把握しづらいです。透明な容器に入れて形を揃えて保存すると、家族みんなが探しやすくなるのでおすすめです。

②まとめる ③取り出しやすくする
冷蔵庫の中には細々としたものが多いため、食品があればあるほど管理しづらくなります。そのため、自分の中でどこに何をいれるのかルールを決めておくことがポイントです。例えば、瓶詰はドアポケットに入れたり、少量で余りやすい袋物は100均のかごに入れてまとめたりすると、使う時に探さずにすむ上に、取り出しやすくなります。

冷蔵室の段を使い分ける

冷蔵室の中は冷気が下にたまるため、場所によって温度が異なります。一番上の段は5~6度ほどありますが、一番下の段は3度ほど下がり、チルド室は0度ほどです。それぞれの温度に適した食材を入れることで、美味しく長く保存することができます。

・上段→日持ちがするものや、ワイン・ペットボトルなどの長いもの
・中段→お弁当に使うおかずやジャム、作り置きのおかずなど、よく使うもの
・下段→豆腐や油あげなどの傷みやすいもの
・チルド室→肉や魚の他、味噌や納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品

食品ロスの削減を目標にするのではなく、まずは食費の節約を意識して、できることから始めてみましょう。その節約のための行動が、自然とエコに繋がっていくはずです。

<取材協力>

島本美由紀さん
料理研究家・食品ロス削減アドバイザー
旅先で得たさまざまな感覚を料理や家事のアイデアに活かし、誰もがマネできるカンタンで楽しい暮らしのアイデアを提案。
食品ロス削減アドバイザーとしても活動し、ラク家事アドバイザー、食品保存&冷蔵庫収納アドバイザー、防災士の肩書を持つ。
親しみのある明るい人柄で、テレビや雑誌、講演会を中心に多方面で活躍し、著書は70冊を超える。
一般社団法人 食エコ研究所の代表理事として食品ロス削減の講演会なども行っている。
島本美由紀オフィシャルサイト

2023

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