パンを美味しく味わう
ふわふわしていたりもっちりしていたりと、種類によって様々な食感や味を楽しめるのがパンの魅力ですよね。パン屋さんに行って焼き立ての香りを感じたり、美味しそうなパンが並べられているのを見るだけでも、幸せな気持ちになります。今月号では、そんな魅力溢れるパンを美味しく味わうためのヒントをお届けします。
パンを美味しく作るコツ
家で過ごす時間が多くなったこともあり、自宅でパンを作る方が増えています。独学でパン生地を作っていると、上手く膨らまなかったり、どこまでこねていいのか分からなかったりと、疑問点が色々と湧いてきますよね。そこで、パン生地作りでつまずきやすいポイントをご紹介します。
➀生地は優しく扱う
パンの生地はとても傷みやすいものであることを、まずは頭にいれておきましょう。パン生地を常に優しく扱うことが、美味しいパンを作るうえでとても大切なポイントです。
②表面がなめらかになるまでこねる
パン生地をこねているとき、どのくらいまで続けたらいいのか、止めどきが分からないところがありますよね。こね終わりの目安としては、ボコボコしている表面がなめらかになり、生地の一部をのばしたときに切れなければこね上がりです。生地が途中で切れてしまうときはこねが足りないので、もう少し頑張って続けましょう。こねる過程で生地を伸ばすときは、強くひっぱらず、生地に無理がないように休ませながら作業を続けると、仕上がりがよくなります。
・生地をこねる理由とは?
小麦粉に水分を加えてこねると、小麦粉のたんぱく質によりグルテンが形成されます。よくこねるとしっかりとした膜ができて、ボリュームのある、きめの細かいソフトなパンに仕上がります。
②生地を乾かさない
パン生地の表面を乾燥させてしまうと、生地の伸びを悪くさせるため、上手に膨らまず、食感が悪くなります。生地が乾燥してしまったときは、霧吹きで水を軽くかけたり、固く絞った濡れ布巾やビニールなどをかけてあげたりしましょう。また、生地に触れる時間が長くなると表面が乾燥しやすくなるので、こねるときや成形するときは、できるだけ短時間で仕上げるのがコツです。
パンは色々な食材と組み合わせて栄養アップを
パンには色々な種類があるため一概には言えませんが、一般的に使う小麦は、アミノ酸スコアが少し低く、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。そのため、それを補う食材と組み合わせることで、栄養価をアップさせることが大切です。
食事としては、飲み物にフレッシュジュースや牛乳を摂り入れたり、サンドイッチは肉やチーズ、卵のように質の良いたんぱく質とたっぷりの野菜をはさんで食べると良いです。
野菜とチキンやハムがのったサラダや、具沢山スープの組み合わせは、美味しくて理にかなっています。
*ライ麦の魅力
ライ麦はビタミン(とくにビタミンB群)とミネラルが豊富です。食物繊維も不溶性と水溶性が両方含まれているので、とても優秀な食材と言えます。
ライ麦はグルテンができない特徴があるため、ボリュームのあるパンになりません。ライ麦の配合が多いと目の詰まったパンになるので、薄くスライスして食べるのがおすすめです。オープンサンドとして召し上がるのも美味しいです。
パンと具材のペアリングを楽しむ
パンは単体で味わうのも良いですが、食パンやバゲットなどのシンプルなパンは、様々な具材とペアリングをすることで、美味しさの幅がぐっと広がります。
常備菜を作っておくと、手軽にいつでも作れるのでおすすめです。スライサーを使って「キャロットラペ」を作り置きしたり、これからの季節に良いのが「きのこのマリネ」です。この他、かぼちゃやレンコンのサラダなどもおすすめです。
サンドイッチは葉物野菜が多くなりがちなので、こういった常備菜をプラスすると味のアクセントにもなります。特にきのこのマリネは、チーズをのせてトーストするのも美味しいです。
パンを美味しく保存する方法
パンは常温保存で食べるのが一番美味しいですが、予め余らせてしまうことが分かっている場合は、できるだけ良い状態を保てるように早めに保存することが大切です。
冷蔵庫に入れるとパンの老化(美味しさが落ちること)が早まってしまうので、「冷凍庫」で保存するのがポイントです。パンを塊のまま冷凍してしまうと、食べる時に好きなサイズに切れないので、スライスをしたパンをラップでしっかりと包み(パンは乾燥をとても嫌います)、冷凍庫に対応したジップつきの袋に入れて、二重にして保存します。
できるだけ早く食べきるのが好ましいですが、夏場は一週間ほど、涼しい時期は2~3週間ほどが保存の目安です。より良い状態で味わいたいときは、涼しい時期も一週間以内で食べきるようにしましょう。
パンの美味しさをより味わって、楽しい食卓にしてくださいね。
<取材協力>
■渡辺庸子 様プロフィール
パンコーディネーターアドバンス
栄養士
横浜市認定はまふぅどコンシェルジュ
料理ユニット Bon Appetit!メンバー
食品会社勤務後、パン好きと料理好きから家庭製パンを習いはじめ、より楽しさを広めたいという想いから2000年製パン講師になる。
大手パンスクール講師をへて、2004年よりらでぃっしゅぼーや(株)でパン講座をスタート。 子供向け講座も開催するかたわら、多方面の料理教室でアシスタントを担当。 パンコーディネーター資格取得後は、より深く「食」について考えるようになり、現在はパンを中心としながら栄養バランスもとれるカフェメニューのコーディネートや 講座の開催、パンと野菜のワークショップの開催、メーカーの商品開発など、パンを中心 とした「食」に関する活動を広げている。パンコーディネーター認定講師も務める。
表参道のノートルスタジオにて パン教室「Orange(http://orange-bread.com/)」を主宰。