アロマを取り入れて、過ごしやすい日々を。
アロマテラピーは香りを楽しめるだけでなく、心身に様々な影響を与えてくれます。そのときの体調や気分に合わせて精油を選ぶことで、生活の質をあげることも期待できます。アロマテラピーの魅力を知って、ぜひ暮らしに取り入れてみませんか。
アロマテラピーとは
アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である「精油(エッセンシャルオイル)」を使って、心と体の不調を穏やかに回復し、健康や美容に役立てていく自然療法のことです。精油は経験的に心身へ働きかけることがわかっており、その一部は科学的にも証明されてきています。
アロマのメカニズム
アロマの香りを嗅ぐと、心身がとても癒されますよね。これにはしっかりとメカニズムがあります。「精油がもっている力」と「嗅覚刺激作用」の2つがうまく絡み合うことがアロマテラピーのメカニズムです。
・精油が持っている力
アロマテラピーで使う精油は、植物からとれる自然の恵みです。植物は薬ができるずっと前から人間と共にあり、薬の原料にもなってきました。上手に活用すれば、植物は人間の心と体に良い影響を与えてくれます。
・嗅覚刺激作用
香りは鼻から入ると、嗅覚を刺激して脳に刺激が伝わるようになっています。脳の中には、心地良さを感じたり、心と体のバランスを整えたりする場所があるので、そこが刺激されることで、心身に癒しを与えてくれます。
例えば、ラベンダーの香りを嗅いで心地よさを感じると、脳の中がリラックスしてきて、体の状態が上手く整うようになります。逆に、不快な匂いを嗅ぎ続けるとストレスを感じてしまい、体の調子が悪くなることもあります。
アロマを生活に取り入れる際に、気をつけること
お店で精油を買ったら、使い始める前に覚えておくべきことがあります。
➀必ず薄めてから使う
精油は植物から抽出された濃厚なエッセンス精油を作るにはたくさんの植物を使うため、液体はとても濃縮されています。そのため、原液はとても刺激が強いので、使う時は必ず薄めるようにしましょう。
②保存場所と保存期間
精油の封をしっかりと閉めていたとしても、暑いところにずっと置いておくと傷んでしまいます。常温で保管をしても、日が当たる場所に置いてしまうと傷みやすいので、冷蔵庫に保存するのがおすすめです。温度の影響を受けないので、いつでもフレッシュな香りを楽しむことができます。冷蔵でも常温保存の場合でも、なるべく1年以内に使い切るようにしましょう。初めは使い切れる小さいもの、容量の少ないものを選ぶと良いですね。
おすすめの精油
精油の種類は約300以上あると言われています。その中から、使いやすくておすすめの精油をご紹介します。
【蒸し暑い時期に役立つ精油】
・ペパーミント
体感温度を下げる効果があります。暑い時期にマスクを外せないとき、ペパーミントの精油のスプレーをマスクに少し吹きかけてあげると、蒸れや熱中症予防に効果があります。
スプレーの作り方は簡単で、ペパーミントの精油を水(水道水でも)に1,2滴だけいれて混ぜ、スプレーボトルにいれるだけです。使用するときは必ずよく振って、外側にスプレーします。内側にかけてしまうと、香りが強くなりすぎるうえ、精油が肌についてしまう可能性があるので避けるようにしましょう。
※無水エタノールが手に入る場合は、少量の無水エタノールで精油を溶かしてから水と混ぜるとよく混ざります。
【気持ちが落ち着かないときや、眠れないときに役立つ精油】
・ラベンダー
一本あるととても重宝します。ティシュやコットンに一滴たらし、畳んで枕元において寝ます。強く香るので、一滴で充分です。
眠るときだけでなく、お風呂で香らせるのもおすすめです。入浴前に、お湯をはった洗面器に精油を一滴垂らしておくと、香りがお風呂場に広まるので、リラックスしたバスタイムを過ごすことができます。このとき、精油は湯船にそのまま垂らさないようにしましょう。
・ベルガモット
紅茶のアールグレイの香りづけにも使われているのがベルガモット。ベルガモット精油を香らせることで免疫力が高まったという実験結果もあります。勉強や仕事で睡眠時間が短くなってしまったとき、翌日の集中力が低下したり、肌の調子が悪くなったりすることがあります。睡眠時間が長くとれないときは、ベルガモットの香りを嗅いでから眠るようにすると、翌日の集中力のベルガモット精油を香らせることで免疫力が高まったという実験結果もあります。
精油のさまざまな使い道
精油は一度に使う量が少ないので、余らせてしまう方も多いです。精油はディフューザーで香らせるイメージが強いですが、他にも様々な使い方があります。使用する精油は好みのものでOKです。
・トリートメント(スキンケア)として使う
肌用の植物オイルに精油を垂らして、トリートメントオイルとして使うことができます。手や足、肩など、疲れのたまった場所に塗布してトリートメントしてあげると、疲れがとれてとても気持ちが良いです。入浴後はとくに乾燥しているので、そのタイミングで使うのがおすすめです。トリートメント後は保湿にもなるので、オイルを拭く必要はありません。希釈の目安は、5ミリに1滴、10ミリに2滴、15ミリに3滴です。よくかき混ぜるようにしましょう。
・タオルで温湿布を作る
タオルで作った温湿布は、肩や冷えたお腹に置いたりして使うことができます。じんわりとした温かさと香りの効果で、心身がとても癒されます。
洗面器にお湯をはって精油を垂らし、よくかき混ぜてからタオルを浸し、よく絞って使いましょう。
分からないことがあれば店員さんにも相談をして、ぜひ自分に合ったオイルを選んでみてくださいね。きっと日々の暮らしが豊かになりますよ。
<取材協力>
熊谷 千津 様
公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)常任理事
https://www.aromakankyo.or.jp/
博士(農学)
薬剤師。
長年、ホスピスでアロマセラピストとして実践を続けながら、アロマテラピーの研究に取り組み、博士号を取得。エビデンスに基づくアロマテラピーの研究と実践、情報発信を続けている。暮らしにアロマを取り入れ、家族の健康管理、美容、集中できる環境づくりなどに役立てている。