紅葉のはなし
紅葉のはなし
秋も深まり、紅葉が見ごろの季節を迎えますね。
今月は紅葉をさらに楽しめる、ちょっとした雑学をご紹介します。
■紅葉の仕組み
・葉の色が変化する理由とは
春夏のような気候が温かい時期は、葉が多くの日光を浴びて自ら栄養分をつくりだして光合成を行います。けれど、秋になって徐々に気温が下がり始めると、光合成から受けるエネルギーが少なくなり、木が葉を維持するためのエネルギーとの釣り合いがとれなくなってきます。すると、葉を落とす準備を始めるようになり、役割を終える過程で葉に色の変化が起こります。
■紅葉のメカニズム
一年を通して葉の色が変化するのは、葉に含まれる色素の量に関係があります。また、紅葉は樹木の種類によって赤く染まるものと黄色く染まるものがありますが、いずれも「緑→黄→赤」と変化をしていきます。
・緑色から黄色の変化
春や夏に緑色をしているのは、葉を緑色にみせる「クロロフィル」という色素が多いためです。このとき葉を黄色くみせる「カロチノイド」という色素も含まれているのですが、クロロフィルの色素が多いため目立つことはありません。秋になると気温が下がり、光合成が低下することで、クロロフィルが分解されて緑色の色素が薄くなり、カロチノイドの黄色が目立つようになります。これが黄色くなる仕組みです。
・黄色から赤色への変化
葉が黄色から赤色になる仕組みは、赤い色素をもつ「アントシアニン」が新しく生まれることで起こります。葉に残った糖分やクロロフィルから分解されたアミノ酸を材料にして、アントシアニンが生成されるそうです。
■もみじは血液型によって色が違う
もみじには黄色く染まるものと赤色に染まるものがありますが、これは血液型が関係していると言われています。植物も人間と同じように4種類の血液型を持っているものがあるのです。当然ながら植物には血液はないため、測定する際には植物の液の中に含まれている糖タンパクの種類で区分するそうです。黄色のもみじは「O型」、赤色のもみじは「AB型」になります。紅葉に出かける際には、ぜひ参考にしてみてください。ちなみに、このようにして血液型を区分できる植物は、全体の10%ほどになります。そのうち約8割がO型で、次にAB型となり、A型とB型はとても珍しいそうです。
■紅葉がきれい色づく条件
1.気温差が大きいこと
夜間に急激な冷え込みがあると綺麗な色づきを助けてくれます
2.直射日光がよくあたること
樹全体、もしくは山全体に陽が当たるときれいに色づきます。
3.適度な湿度があること
葉が枯れてしまわない程度適度な湿度が必要になります。
~おまけ~
■もみじと楓の違いとは
もみじと楓の葉は形がとても似ていて、その違いがいまいち分からない方も多いかと思います。実は両方とも植物分類上の差はなく、どちらも「カエデ科カエデ属」です。楓の中でも特に赤く染まるものを「もみじ」と呼んでいます。盆栽の世界では、もみじは「葉が小さくて切れ込みが深く、真っ赤に染まるもの」で、楓は「葉が大きく切れ込みが浅いもの」と分類されています。
■もみじと楓の語源の違い
もみじと楓の違いを、語源からも考えてみましょう。もみじは「もみず」という動詞から変化して「もみじ」と言われるようになった説があります。この「もみず」という言葉には「草木が赤や黄色に色づく」という意味があり、これが現代では紅葉(こうよう)を指す言葉へと変化したそうです。そしてこの「もみず」を語源にして「もみじの木」そのものを表す名詞へと変化したと考えられています。
楓の語源は、葉の形が「カエルの手」に似ていることから「かえるで」と言われのが始まりです。これが変化して現在の「かえで」と呼ばれるようになったそうです。
色鮮やかな紅葉の風景をたくさん心におさめて、秋の季節を満喫したいですね。