防災のちしき



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取材協力…アウトドア防災ガイド「あんどうりす」さん

日本は自然災害が多い国です。いつ起こるか分からないからこそ、日ごろの対策や災害時の避難の仕方など、正しい知識を身に着けて、事前にしっかりと準備しておきましょう。

■自分の住んでいる場所について理解する
どこに住んでいても、いつ、どんな自然災害に遭うか分かりません。自分の住んでいる場所が水害や地震にどれくらい強いのかを知っておくと、事前に対策することができます。そこで便利なのが「地盤サポートマップ」というサイト。行政が発表している防災情報と民間の不動産業界が持っている安全情報が一緒になっていて、自分の住所を入力するだけで、家の情報がカルテのように分かります。自然災害における危険度を、自分事として捉え、まずは自分の住んでいる場所を知るところから始めてみましょう。

■降水量のイメージを具体的に持ち、早めに避難できるようにする
豪雨のときに降水量の情報を聞いても、いまいち想像がつきにくいかもしれません。降水量のイメージを持てるようにしておくと、避難するときの目安が分かります。

降水量のイメージ (※1時間あたり)
100ミリ→1m×1mに1回100㎏の力士が落ちてくるイメージ
50ミリ→冠水が始まる地域もある
30ミリ→前が見えなくなる

1時間あたりの降水量だけでなく、雨が降り始めてからの積算雨量を覚えておくことも大切です。積算雨量が400ミリを超えると80%の地域では被害がでてきます。河川水位が気になる方は、見に行ってしまうと危険なので、「河川水位」というアプリを利用して状況を確認するようにしましょう。

<洪水・土砂災害時の避難をするタイミング>

警戒レベル1警報級の可能性→災害への心構えを高める
警戒レベル2洪水・大雨注意報→避難に備え、避難行動を確認する
警戒レベル3避難準備・高齢者等避難準備開始
→高齢者や小さな子供など、避難するまでに時間のかかる家庭は避難をする
 該当者以外は避難をするための荷物を行う
警戒レベル4避難勧告→全員が速やかに避難する
警戒レベル4避難指示→基本的には避難が完了している状態
家の中にまだ残っている人は、屋内の少しでも安全な場所に移動する
警戒レベル5災害の発生情報→命を守るための最善の行動をとる

避難勧告でも完全に安全というわけではないため(西日本豪雨では避難勧告4分後に河川が決壊)、避難準備の段階から逃げるのが安全です。災害が起こると正常性バイアスがかかり、「大したことないはずだ」という心理状況に陥ってしまいがちですが、周りの人が避難をしていなかったとしても、声を掛け合って早く逃げるようにしましょう。

■水害時の逃げ方
<冠水時に逃げられる条件>
① 水位が膝から下のとき
膝上にまで水位があがると体の自由が利かなくなります。
② 水の流れがないとき
水の流れには「動水圧」という圧力がかかります。動水圧は二乗で計算するため、水の流れが3倍の速さになったときは、9倍もの力に。そのため、水の高さが足首くらいの場合でも、流れが速い場合は簡単に体をもっていかれます。

水の流れが起きてしまった場合は外に出ず、2階以上(海抜0m区域では3階以上)や屋根の上にあがる必要があります。できるだけ外に逃げられるうちに、早めに避難するようにしましょう。

<水の中を歩いて避難するときに気を付けること>
「冠水時に逃げられる条件」を満たした場合、以下のことに気を付けて避難しましょう。

・浮力になるものを持つ
マンホールの蓋が開いているときがあるため、浮力のあるものを持って、その中に落ちるのを防ぎます。子供が歩ける場合は、可能であればライフジャケットを着せましょう。小さな子供は抱っこかおんぶをして避難しましょう。

・膝丈までの長靴を履く
避難するときには、膝丈まである長靴を履くようにします。このとき、足と長靴の隙間から水が入らないように、養生テープなどで巻くか、上をぎゅっと絞れるタイプの長靴を履くようにしましょう。

※状況に応じて判断したほうがよいもの
×運動靴→汚水があふれている場合、衛生上よくない。靴が濡れると、体が冷えてしまう。
×短い丈の長靴→水位が長靴の高さまできた場合、体ごと持っていかれてしまう

■地震対策はまず「家具の固定」から 
防災用品を準備することも大切ですが、生き残ることが何よりも大事です。初めから激震が起きた場合、揺れ初めてからは何もすることができないため、家具は高さに関係なく、必ず固定するようにしましょう。ネジで家具を固定できない賃貸では、シールタイプのものを使用するようにしましょう。

■災害用トイレは100個以上用意する
東京は避難所が少ないため、安全な場合は自宅で過ごすことになります。このとき、自宅の排水管が故障していたり、断水していたりする場合は、トイレの水を流すことができません。そこで必要になるのが「災害用トイレ」です。用意しておくと安心な数は、「5回(女性が一日に行くと言われている回数)×家族分×7日~30日分ほど」。1回で捨てないようにし、どのくらい使用できるのかを考えて数を決めるようにしましょう。最低100個くらいが目安です。外出時にトイレが使用できない可能性もあるため、カバンに3つほど入れておくと安心です。

災害のことを考えると少し不安になるかもしれませんが、知識として身に着けて準備しておくことで、結果的に心の安心にも繋がりますよ。

2023

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