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思いを届け、受け取って


信号のない横断歩道を渡ろうとしている時に、すーっと止まってくれる車。優しさを感じます。
会釈とともに、小走りで横断歩道を渡ることで、ささやかながら運転者に感謝の意を伝えます。

先日、特別に何か嫌なことがあったわけではありませんでしたが、なんとなく孤独感を抱えながらスーパーへ買い物に行く夕暮れどき。
横断歩道の前でポツンと立っている私を見つけて車が止まってくれました。なんだか、それだけで嬉しかったのです。私も車をよく運転しますから、横断歩道を渡ろうと立っている人がいたら、これからは必ず止まろうと思いました。
たとえ小さなことでも、向けられた親切は嬉しいものですね。

昨日、電車に乗っていると隣に座っていた女性が、少し離れたところに立つ初老の男性に「座りますか?」と声をかけました。その男性は「あ、大丈夫よ、ありがとう」と明るい声で答えて、降りる時に、もう一度女性に「どうもありがとね」と笑顔で言って降りていきました。女性は「お気をつけて」と、男性の背中に声をかけていました。車内に爽やかな風が吹いたようでした。

そんな素敵なことが、あちこちで起きたらいいですね。小さな思いやりを届け、受け取りながら、ほんの数秒でもお互い笑顔になれたなら、疲れた日でも、また頑張ってみようと思えるのではないでしょうか。

文 中村幸代

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