腹筋を意識することから
ピラティスに通いはじめました。私の腹筋があまりに弱いので、インストラクターのお姉さんに笑われます。横になった姿勢から上半身を起こして行うエクササイズも、私だけ、ずっと寝たまま。どうやっても起き上がれないのです。
アドバイスを求めると、
「腹筋は意識することが大事で、たとえば、食器を洗うとき、キッチンのシンクにお腹をもたれかけて、やっていませんか?」
「ああ! やってる。」
「それをやめて、思い出したら腹筋に力を入れるようにすると、それだけで、腹筋は鍛えられるんですよ。」とのこと。
インストラクターの美しいお姉さんたちは、普段から腹筋を意識して、常に力を入れているそうです。それに比べて……どれだけ弛緩しているんだ、私のお腹。よし。絶対腹筋で起き上がってみせる! と、当面の目標ができました。
ピアノを弾くときも腹筋を意識したら、肩や腕の力が自然に抜けて、背中も伸び、よい感じなのです。大の運動嫌いを貫いて半世紀以上。身体の使い方を知らぬままここまで来たかと愕然とする一方で、心の奥ではやっぱり運動嫌いを肯定する気持ちもわいてくるのでした。いずれにしても「私の身体には伸びしろがある!」
数か月後、1年後の自分に期待して、日々、腹筋に意識を向ける今日この頃であります。
文 中村幸代