TopicsEssay

不思議な体験

2020.9
文:中村幸代

 green cafe essay vol.107
『不思議な体験』

不思議な体験をしました。

マイナンバーカードが、あるはずの場所に無いことに気付いてはいたのですが、特に使用する予定もなかったので、数ヶ月間そのままにしていました。いよいよ今日になって仕事の書類提出のため必要になり、あわてて本腰を入れて我が家を捜索し始めました。

私は決して几帳面な性格ではありませんが、モノをしまう『住所』は決めています。マイナンバーカードは、リビングにある棚の一番上の引き出し。そう決めていたのに何度ひっくり返してみても見当たらないのです。

「もしかして財布に入れたのかなあ?」と見てみるものの、出てくるのはポイントカードばかり。多すぎるポイントカードにため息をつきながら、リビングの引き出しという引き出しを捜索。やっぱり無い。「おかしいなあ」を連発しながら自室に移動して布団の上に転がったら、そのままウトウトしてしまいました。

その時です。なんとなくピンク色が脳裏に浮かび、目を開けると部屋の隅のピンク色の非常用持ち出しリュックが目に止まりました。何も考えずそのリュックを手に持ったときに、まるで、ピントがゆっくり合っていくように、思い出したのです。去年、台風19号が関東を直撃した時、避難するつもりでこの非常用持ち出しリュックに身分証明書としてマイナンバーカードを入れたということを!その記憶が蘇るのと、リュックのポケットからマイナンバーカードを取り出すのが、ほぼ同じタイミングでした。

それにしてもなぜ、ピンク色が頭に浮かんだのか。
だれかが教えてくれた、そんなふうにしか表現できない感覚です。


何気ない日々も、人はこんなふうに支えられたり守られたりしながら生きているのかもしれません。目には見えない温かい存在に。

文・中村幸代

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