お魚を食卓に
2015.12.01
取材協力・・・料理研究家・おさかなマイスター「田口成子さん」
魚は繊細で美味しい。
種類や調理方法、そして四季によって色々な味わいを楽しむことができます。
最近では肉の消費量が増えていますが、魚の魅力を改めて考えてみませんか。
日本人と魚の結びつきの変化
日本は海に囲まれているため、昔から日本人と魚の関わりは深いものでした。海辺に近い人はタンパク質をとるために魚を食べ、内陸の人たちは川魚を食べるなど、その土地土地で食べる魚の種類も異なっていたのです。
しかし最近では、経済の成り立ちとして魚を普及させるために、同じ種類の魚を大量に購入。ある一定の種類の魚だけが全国に流通し、どこでも手に入ることが可能になったため、その魚がとれた土地や背景のことを考えなくなっています。
魚で感じる日本の四季
日本には四季があるので、一年を通して色々な魚を楽しむことができます。
ブリやマダイのように養殖されている魚は、一年中出回っているものもあります。けれど、サクラエビは春先や秋の2ヶ月ぐらいしか摂れることができず、その季節でしか味わえない魚もあります。秋はサンマ、そして寒い冬は体を温めてくれるあんこうやふぐのお鍋・・・こんな風に日本人は魚で四季を感じてきた文化があります。
皆さんご存知の通り、魚は旬の時期に一番美味しく味わえます。例えば、サケの仲間で一年中流通している魚は外国産のものが多いですが、9~11月にかけて日本の川に上ろうとしているサケ(アキサケ、シロサケなどと呼ぶ)は、日本人が古くから食べてきた魚です。このサケは脂のりが日本人好みで、ふっくらとしたやさしい味わいがあります。
四季を考えて魚を選べば、お料理がより美味しくなりますよ。
出汁を使った家庭料理
これからの寒い季節には、体を温めてくれる汁物に「煮干し」を使うのがおすすめです。お鍋をする時も、色々な味付けにできるので便利です。
煮干しベースのおすすめ料理
<キムチ鍋>
ベースに煮干しを使うと、コクがでてぐっと美味しくなります。
-作り方-
煮干しの頭と内臓をとり、ゴマ油でいためます。水を加え、肉や豆腐、キムチを鍋に入れて完成。
※水1000mlに対して煮干しは20g~30gぐらいが目安です。
<つけだし>
冷蔵庫で保存すれば4~5日は持ちます。作った直後はうどんや炒め物、小松菜の煮びたしに使えますし、日にちが経って濃くなったら味噌汁に。冬場はトマト系やブイヤーベース系の洋風シチューにもぴったりです。
-作り方-
1リットルほどの容器に昆布1枚と頭付きの煮干し20g~30gをたっぷりお水につける。
実は簡単なお魚料理
魚料理と聞くと、複雑な調理方法や骨の処理のことを考えてしまい、肉料理よりも手間がかかるイメージがあります。ですが、フライパンで調理する場合は”お肉料理と同じ発想”でok。それでは、簡単に作れる魚料理をご紹介します。
さっと作れる魚レシピ4品
- ・オリーブオイルやごま油を熱して切り身を焼き、塩・コショウをしてソテーし、レモンや醤油をかける。
- ・ブリの切り身を一口大に切って先に焼く。旬のお野菜やきのこと一緒に、中華風に味付けて炒める。
- ・ブリにすりおろしたニンニク少々と、カレー粉をまぜた唐揚げ。
- ・カジキやカレイを醤油とみりん、お酒と砂糖を加えてさっと煮つけに。しょうがやゴボウを入れるとさらに◎
魚の値段が気になる人や、食事のボリュームを増やしたい人は、さつまいもやブロッコリーなどの野菜を加えると、量だけでなく栄養面でもバランスがとれます。年代に合わせてオイル漬けにして焼いたり、刺身やしゃぶしゃぶにしたりなど、食べ方を変えると味のバリエーションが広がるのでおすすめです。
家庭料理は頑張りすぎない
ネット社会の現代では、数多くのレシピが検索できるため、料理のレパートリーを増やさなければいけないと思いがちですが、家族や子供が好きな料理は、実際そんなに多くはありません。お母さんが作りたいものや、季節、年齢に応じて食べたいものは変化し、またクリスマスやお正月などのイベントでは特別なものを作ればよいので、毎日色々なものを作る必要はありません。色々な料理を作りたい時には挑戦し、忙しい時には同じものを作り、子供のリクエストがある時にはその料理を作る、、、その積み重ねが家庭料理です。
家庭では、多くのレシピを作るよりも、季節の素材や野菜を使った安心して食べられる味を作ってあげることが大切です。そして、家族みんなでの食事の時間を大切にして、話を聞いてあげたり、リラックスする時間を作るようにすると良いですね。