アウトドアから学ぶ!防災の知恵袋
2015.11.01
自然の中に必要最小限の道具で入り、自然と親しくなることを「アウトドア」と言います。アウトドアを通じて自然と身近に接していれば、災害時にも必要以上に慌てずに対応ができます。今回はアウトドアの知恵を活かした災害・防災対策をご紹介。
災害時編
寒さを防ぐための知恵
アウトドア流の寒さ対策の考え方は「水」、「風」、「空気」とどのように向き合い、そして断熱の知恵を活かせるかがポイント。それぞれの性質を理解すれば、緊急時に応用する力が身につくので覚えておくと便利です。
「水」の性質
水が服について吸水すると、液体を気体に変えようとする時に気化熱で体温を奪い、体温がどんどん下がってしまいます。人は恒温動物なので体温が下がり低体温症になると、回復が難しく濡れただけで死に至ります。汗や雨、水道管破裂などで濡れた事を放置せず“服が濡れたら必ずすぐに着替える!”このことをよく覚えておきましょう。緊急時に替えの服がない時には、その服を脱いで新聞紙など乾いたもので身をつつみ空気の層をつくりましょう。冬は普段から保水しない保温性のある素材の服を着ていると安心です。
<体温を下げる素材>
- コットン
<保温性のある素材>
- 吸汗拡散性加工のあるポリエステル素材
- シルク
- ウール
- 保温性下着
「風」の性質
風速1メートルの風がふくと、体感温度は一度下がります。ウィンドブレーカーや山用のレインウェアなど、風を防ぐ格好をしていれば、薄い服でも寒さを和らげることができます。山用のレインウェアは汗などの湿度を外に出すこともできるので万能です。ビニールも風を防ぐことはできますが、蒸れて水がコントロールできなくなるのを認識した上で使用しましょう。
「空気」の性質
保温するためには、断熱素材である動かない空気を溜める必要があります。空気を一番溜めてくれる素材は「ダウン」。このダウン素材は、体温を熱源とした暖かい空気によって羽根が膨らみ、この羽根がたくさんの空気をつかんで暖かさを作る仕組みがあります。そのため、汗を乾かしてくれるインナーのすぐ上に着るなど、肌の近くで着ると羽根がよく膨らむのでお勧めです。セーターの上にダウンを着たり、ダウンの上に重たい服を着ると、羽根がつぶれて膨らまなくなるので注意しましょう。もしダウンがなくても、服のなかに新聞紙を丸めて入れれば空気を溜めることができます。
防災編
普段の鞄を防災用に!
災害はいつ、どこで起きるか分かりません。そのため、いつも持ち歩く鞄に災害時用の必要最低限の物を入れておくと安心です。たくさん物を持ちすぎると余震で動けなくなるので気を付けましょう。
持ち歩くと便利な防災グッズ
➀携帯電話
緊急地震速報を受信するために使います。音を聞いたらぬきうちの避難訓練だと考え、安全な場所に避難する練習をしましょう。子供は音を聞くと怖がってしまうので、その音に「きんちゃん」などの名前をつけてあげると前向きな気持ちで逃げることができます。
②ホイッスル
重たい物に挟まれてしまった時、居場所を知らせるために必要です。中に球がはいっているものは雨に濡れると鳴らなくなるので、球の入っていないものや、人・救助犬に聞こえる音域の笛を持つようにしましょう。
➂LEDヘッドライト
災害時は両手が空くと行動がしやすくなります。持ち歩く場合はコンパクトなLEDのヘッドライトが便利。電池ではなく、「LED」であれば、ほとんど替えの電池が必要ないので安心です。
➃マルチツール
何かを作る時にはハサミがないとできません。普段使いたいものは、災害時に使いたいものでもあります。マルチツールは可愛らしいデザインのものも増えているので、ひとつ持っていると便利です。
持ち歩くと便利な防災グッズ
防災の知恵を身につける
防災対策はグッズを買うだけでは解決しません。緊急時でも臨機応変に対応できる自分の知恵が大切です。知恵として覚えておくことが、色々なことに応用できる知恵に繋がります。そのためにも、事前に防災に関する知識を習得しておきましょう。
知恵の応用例
例① )おむつがないとき
おむつは防水と吸水の機能を組み合わせた構造です。この知識を知っていれば、レジ袋やビニール袋を下に敷き、吸水素材のものを中に入れて代用品を作ることができます。トイレも仕組みは同じです。
例② )避難先の床が冷える時
避難所の床の上に毛布を何枚敷いても、断熱素材のものがなければ暖かくはなりません。アウトドアの場面でテントの上や寝袋の下に断熱素材のマットを敷くように、緊急時は段ボールや柔道マット、子供用のプレイマットを断熱素材として利用しましょう。
防災の知識をしっかりと身につけて、いざという時に活用してみてくださいね。