五月病
「My Favorite Things」は、いま、話題にしたい人・もの・コトを音楽プロデューサーの中脇雅裕がご紹介させていただきます。
今回は「五月病」のお話です。
「五月病」が流行する5月って何が起きるの⁉︎
5月になるとよく聞く言葉が「五月病」。
五月病とは、4月には張り切っていた新入生や新入社員が、5月のゴールデンウィークを過ぎた頃になるとそれまでの元気がなくなり、なんとなく体調も悪くなる状態のこと。医学的な病名ではないものの、やる気がしない、悲観的になる、気持ちがゆううつになる、といった心の症状と、食欲がない、眠れない、だるい、下痢や便秘といった体の症状があわせてみられれば、五月病といえるでしょう。この様な様々な症状が同時に起きるのには、ストレスが大きく関連しているといわれています。
毎年4月頃は、新入学や人事異動など環境が大きく変わる時期。環境の変化という刺激により生体に「歪み」が生じると、視床下部、下垂体、副腎皮質を介して、その歪みを元の状態に保とうとする防衛反応が生じます。
この反応そのものを「ストレス」といいます。このストレス反応によって、生体は見かけ上の恒常性を保つことが出来ますが、長期間この状態が続くと疲労が蓄積し、次第に抵抗できなくなっていきます。
4月に環境が変化し、ちょうど連休を過ぎた頃あたりにストレスが溜まりだし、それが噴き出す頃に症状が出てくるといわれています。
五月病は、どちらかというと真面目で完璧主義、きっちりやらないと気がすまない性格の人に多くみられるようです。
予防するには、「60〜70点取れれば良し」として完璧主義をやめる。つまり、自分の基準を見直すと良いといわれています。新しい環境で最初から完璧に出来る人などいないと割り切り、疲れてしまう前に、ある程度のことは「まっ、いいか」とやり過ごせる心の余裕を持つことが大切なのです。
また、疲労が蓄積する時期でもありますから、食事と睡眠を充分に取り、きちんと休養をとること。ストレスに対処するためには疲労回復を心掛け、自分にあったストレスの解消法をみつけることも大切です。
幸せホルモンと日々の習慣がストレス解消のカギ!
解消法として、続けてきた趣味や好きなことをして脳内の「幸せホルモン=セロトニン」の分泌を活性化させるのも一つの方法です。
また、身体を動かし運動することで緊張を和らげ、心身をリラックスさせることもできます。身体が重い感覚が続くようであれば、身体を動かしてみましょう。
日光浴も効果があります。朝の日の光を浴びることで体内時計が整いますし、昼間の日光を浴びれば夜に分泌される眠りを促すホルモン=メラトニンが増え、良質な睡眠につながります。朝日を浴びながらウォーキングエクササイズなどをすれば、特に良い効果が期待できそうですね。
そして、忘れてはいけないのが身体のリズムを整えること。休日もある程度決まった時間に起き、生活リズムを崩さないよう心掛けましょう。また、睡眠の質を高めるため、深夜までの仕事や就寝前にデジタル機器に触れることは出来るだけ避けることをおすすめします。
程度の差こそあれ、周りに同じようなストレスを抱えている方がいるのであれば、悩みを共有してみるのも良いでしょう。話せる相手がいない人は、悩みを具体的な文章にしてみると問題が明確になり、新しい視点や対処法が見つかるかもしれません。
食事も大切です。幸せホルモン=セロトニンを作り出す栄養素を含む食品、バナナ、乳製品、大豆製品、さつまいも、いわし、雑穀米などは積極的に摂ること。また、カフェインや甘いものは睡眠や内臓に悪影響を与えるため、控えた方が良さそうです。また内臓の調子が悪い人は水分不足にも注意し、1日1.5~2L摂ることを心がけましょう。
ちなみに、アメリカやヨーロッパには五月病がありません。日本では4月に新しい環境で頑張ることで1~2ヶ月たった5月に発症することから「五月病」といわれますが、欧米では9月が年度替わりの場合が多いため、こうした症状を「September blue」と言ったり、クリスマスの楽しい休暇明けに起こる「January blue」という言葉もあるそうです。
新緑爽やかな季節、忙しくともできるだけ心身ともに健康な状態を維持したいものですね。
"My Favorite Things" 中脇雅裕 Masahiro Nakawaki
大学在学中より、多くのTV・ラジオのCM音楽を制作。
大学卒業後、財団法人ヤマハ音楽振興会にてポピュラー音楽指導ディレクターとして音楽教育法の研究および講師の研修を担当。
その後、東京に居を移しレコーディングディレクターとして数々のアーティストの音楽制作を手がける。
今までに制作に携わったアーティストはCAPSULE,Perfume,きゃりーぱみゅぱみゅ,三戸なつめ,近藤夏子,Jungle Smile,手嶌葵,古澤巌,中村幸代などジャンルを問わず多岐に渡る。
その他に、映画、CM、各種イベントなどの音楽制作はもとより、イベントプランニング、執筆活動、講演、ラジオDJなどその活動は幅広い。
音楽教育の経験とメンタルコーチングの知識を生かした講演、研修、個人コーチングも行っており現在、サウンド&レコーディング・マガジンに「音楽クリエイターのためのイメージ・トレーニング!」を連載中。
◆オフィシャルウェブサイト http://nakawaki.com/