薬膳で体質改善!
薬膳と聞くと難しそうなイメージかがありますが、実はスーパーで手に入る食材で手軽に摂り入れることもできるんです。体質改善を目的とした薬膳を日常的に摂り入れて、 健康への近道に。あわせてご自身の体質もチェックしてみてくださいね。
薬膳とは?
薬膳は中国の伝統医学をベースにした食事療法のこと。
不調を改善し、体の状態を整えることを目的としています。
薬膳の基本の考え方は「季節・自然に合うものを摂ること」、「自分の体質に合うものを摂ること」の2つです。
体質チェックをしてみよう
中医学では、人の体は「気・血・水」 の3つの要素で成り立っていると 考えられており、これらの要素が バランスよく循環できている状態が健康的であるとします。
【気】肉体的、 精神的なエネルギー
【血】血液を流れる液体、栄養分
【水】血液以外の体内にある水分
薬膳の基本は、体質に合うものを摂ること。 自分の体質を知り、必要な食材を確認しましょう。 体質の分け方は様々ですが、今回は6タイプに分けます。 それぞれ3つ以上当てはまる場合はそのタイプに該当します。
【気】のトラブル
🟧気滞タイプ(気が滞っている)
①お腹や脇のあたりが張りやすい
②ゲップやおならなど、 ガスがたまりやすく、でやすい
③頑張りすぎてストレスを溜めがち
④生理前に脇が張りやすい
⑤便秘や下痢が交互に起きやすい
〈体質改善の食材〉
ストレスやイライラを解消してくれるもの
紫蘇や茗荷、セロリ、ミント、パクチー、 大根、蕎麦など、香りが良いと感じるもの。みかん、グレープフルーツなどの柑橘系。
🟧気虚タイプ(気が不足している)
①疲れやすく気力がない
②活動量や気温に関係なく、 日中汗をかきやすい(更年期は別)
③呼吸が浅く、すぐに息切れする
④風邪をひきやすい(年に2〜3 回)
⑤胃腸が弱い、胃下垂
〈体質改善の食材〉
元気をつけてくれるもの
お米、豆、芋類、牛肉、豚肉、しいたけ、 かぼちゃなど。みそ汁や煮物などにして ご飯と一緒にいただくのがおすすめ。
【血】のトラブル
🟥瘀血タイプ(血流が悪く、血の巡りが悪い )
①顔色が青白く、くすみやすい
②くまができやすく治りにくい
③肩こりがひどい
④生理痛がひどい、 生理痛がなくてもどろっとした経血がでる
〈体質改善の食材〉
たまねぎ、にら、にんにくなどの香りの 強いものや、鮭、茄子、菜の花、お酢、 黒酢など。 瘀血タイプは甘いもの好きで運動嫌いの方も多いため、甘いものの食べ過ぎや運動不足にも要注意。
🟥血虚タイプ(体内を巡る栄養や血液が少ない)
①眠りが浅く、夢を多く見る
②物忘れしやすい
③爪の色が白っぽく、 爪が割れやすい
④立ち眩みしやすい
⑤生理の経血量が少ない、3 日目以降に急激に減少する
〈体質改善の食材〉
血を補うもの+消化に良いもの(胃腸が弱く栄養分が作りにくいため)
まぐろやクコの実、にんじんなどの赤いもの。黒きくらげ、黒ゴマ、牡蠣、ほうれん草、レパーなどの黒いもの。
【水】のトラブル
🟦水滞タイプ(体内に水分が滞っている)
①むくみやすい
②肌に弾力がなく、締まりがない
③おりものが多い
④体が重だるい
〈体質改善の食材〉
利尿作用のあるもの
枝豆やそら豆などの豆類やトウモロコ シ、生姜、わかめなどの海藻類。 鱸、鯛などの白身魚は利尿作用に優れ、 胃腸の働きにも効果的。 生姜は皮に利尿作用があるので、皮ごと食べると◎。
皮が苦手な方は、薄切りにして汁物などに入れ、エキスを抽出して 摂るのがおすすめ。
*生姜の誤解 意外なイメージですが、生姜には体を温める作用はあまりなく、発汗作用が強い食材。風邪予防に効果的です。
🟦陰虚タイプ(体内に水が不足している)
①乾燥しやすく、口が乾く
②更年期の方は火照りやすい
③冷たいところを探してしまう
④寝汗をかく
⑤髪や肌が乾燥している
⑥いつも燃焼していて、 痩せてきている
〈体質改善の食材〉
体に水分を補うもの
長いも(加熱がおすすめ)、白菜、トマト、 ヨーグルト、豆腐、豆乳、白きくらげ(薬 膳食材)などの白い食材。豚肉や鴨肉も良い。
あなたはどのタイプでしたか?
規則正しい生活に加え、体質に合う食材を摂り入れてみて下さいね。
■取材協力
杏仁 美友さん
国際中医師、中医薬膳師、漢方&薬膳アドバイザー
一般社団法人薬膳コンシェルジュ協会 代表理事
学校の薬膳講師、レストランメニューの監修、商品開発、専門家アドバイス、講演会、料理教室などのほか、テレビ・雑誌・ラジオなどの取材多数。著書は『薬膳美人』(マガジンハウス)、『薬膳ごはん』(大和書房)、『23時からの「薬膳」遅ごはん』(祥伝社)など多数。「こころに漢方を、くちびるに薬膳を」をモットーに、身近な食材を使ったカンタン薬膳やわかりやすい漢方の知恵を紹介し、好評を得ている