美味しいだけじゃない!はちみつのチカラ

ほんのり優しい甘みと、とろりとした食感が魅力のはちみつ。その美味しさに加えて、体に嬉しい効能もたくさんあります。今回は、はちみつを食べることで得られるメリットや、はちみつが持つチカラについてお届けします。

はちみつとは?

はちみつの元は花の蜜で、ショ糖という砂糖と同じ成分の二糖類。ミツバチが花の蜜を吸ってお腹にため、そこでショ糖と酵素が混ざることで分解作業が行われて「はちみつ」に変化します。

消化吸収に優れ、効率的なエネルギー源に!

はちみつの主な成分は果糖とブドウ糖で、これ以上分解できない単糖類。人間が食べる場合は消化の必要がなく、栄養素を素早く吸収してすぐにエネルギー源になってくれます。アスリートが栄養補給源としてはちみつを取り入れることが多いのは、効率的にエネルギーを生み出してくれるからです。
また、ブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源。結晶して固まったはちみつにはブドウ糖が多く含まれているため、脳の働きの活性化にも役立ちます。

・栄養素

はちみつには豊富なビタミンB群に加え、カリウムや鉄、マグネシウムなどのミネラルも微量ながら含まれるものが多く、体調を整えるためにも欠かせません。砂糖と比べてカロリーが低いため、砂糖の代用にすればよりヘルシーです。

・さまざまな健康効果

➀保湿効果…肌に塗るだけでなく、摂取することでも体に潤いを与えてくれる。
➁睡眠の質を高める…眠る前のスプーン一杯の摂取によって睡眠の質が高まる。
➂整腸作用…グルコン酸やオリゴ糖の働きにより腸内の善玉菌が増え、腸内環境が整う。
④疲労回復効果…消化吸収に優れ、体調の回復にも役立つ。
➄抗菌作用…咳や喉の痛みに作用し、風邪予防にもなる。

はちみつの種類

様々な種類のはちみつがありますが、大きく分けると「花の蜜」由来のものと「樹液」由来のものに分類できます。

「花の蜜」由来のはちみつ

→単花蜜(アカシア、さくら、れんげなど)
一種類の花の蜜から作られるはちみつのこと。複数ある花の種類の中から一種類の花の蜜を集めることができるのは、西洋ミツバチの習性によるもの。西洋ミツバチはコミュニケーション能力が発達しており、偵察にきた働きバチが蜜のある花を見つけると、ダンスを踊って仲間に伝えます。すると同じ群の働きバチたちが一斉に同じ花をめがけて蜜をとりに行くため、たくさんの蜜を効率よく集めることができるのです。

→百花蜜
百花蜜は数種類の花の蜜が合わさってできるはちみつのこと。「春のはちみつ」や「山のはちみつ」など、特定の花の名前ではない商品名で売られています。

「樹液由来」のはちみつ

松やもみの木などの樹液を吸って、巣箱にためることで作られたはちみつのこと。黒蜜のような色の濃い茶褐色が特徴で、花の蜜よりもミネラル分が多く、鉄分を比較的多く吸収できるため、貧血予防にもおすすめです。

はちみつは腐らない?

はちみつは糖度が約80度あり細菌が繁殖できないため、腐敗しにくい食品です。食品表示法に基づいて賞味期限は2年ほどと記載されていますが、様子を見てカビが生えていなければ、基本的には食べられます。長期保存がきくうえ、殺菌効果もあることから、防災グッズとして常備するのもよいでしょう。

時間の経過したはちみつは美容に使おう

開封後しばらく経ち、食べるのに抵抗がある場合は美容に使うのがおすすめ。「はちみつ」とラベルに記載のある純度100%のはちみつを使うようにし、肌の弱い方は使用前にパッチテストを行いましょう。

はちみつの泡洗顔

洗顔料に少量のはちみつを加えて練り、優しく洗うと、しっとりした洗い上がりになります。

はちみつパック

肌に薄く伸ばしてから湯舟につかり、その後洗い流すだけで毛穴がきれいになり、保湿効果も期待できます。

離乳食前の乳児にはNG!

離乳食前の乳児にはちみつを与えると、「乳児ボツリヌス症」による中毒症状を起こす危険性があります。はちみつに必ずしもボツリヌス菌が含まれるわけではないものの、乳児に与えるのは避けましょう。ボツリヌス菌は高温でも死滅しないため、温かい飲み物に混ぜるのもNG。個々の成長をみて、離乳食や大人と同じものが食べられるようになってからはちみつを解禁しましょう。

はちみつは小さなミツバチたちからの貴重な贈り物です。感謝の気持ちを忘れずに、大事に摂り入れていきたいですね。

■取材協力

河村千影さん

はちみつ料理研究家
一般社団法人日本はちみつマイスター協会代表理事

甘いだけじゃないはちみつの魅力を資格講座やセミナー、ワークショップを通して伝えています。はちみつ料理研究家として、レシピ開発などの活動もしています。

日本はちみつマイスター協会ホームページ