パンやピザ、スパゲッティなど、小麦を使った美味しい料理はたくさんあります。多くの場合、小麦は必ずしも体に悪影響を与えたり、避けたりしなければいけないものではありません。ですが、小麦に含まれるグルテンという成分によって、原因不明の体調不良に悩まされる方もいます。こうした特定の人々にとっては、グルテンを避けることが健康回復の助けになることもあるのです。食の多様性が進む今だからこそ、グルテンフリーの食生活について一緒に考えてみませんか。

グルテンとは、小麦やライ麦、大麦などに含まれるたんぱく質の一種のこと。パンやピザなどのもちもちした食感や弾力は、このグルテンの効果によるものです。グルテンはグルテニンとグリアジンという二種類のたんぱく質に加水することにより絡み合ってできたもので、中でもグリアジンは、脳内の中枢を刺激する働きがあり、食欲の増進や血糖値を急上昇させる作用があります。また、依存性が高く、満腹でもついパンや麺類などの小麦製品を食べてしまう方は、この依存性によるものだといわれています。こうした依存性だけでなく、体質に合わない人の場合、健康の要である腸壁（主に小腸）を傷つけてしまう可能性もあります。

グルテンの疾患（自己免疫疾患やグルテンフリーアレルギーの方）の症状は様々で、下痢や腹痛など消化器系のダメージをはじめ、肌荒れや不眠症など、200種類以上の症状があります。体調不良の原因がグルテンによるものだと気づける人は多くはありませんし、日本ではグルテンが原因である自己免疫疾患の診断ができる医師や病院が少ないのが現状です。
病院に行っても改善されない原因不明の不調（消化器症状や肌トラブル）がある場合は、まずは「食」を見直すことです。グルテンに限らず、あまり知られていないネギ類や乳製品などの食物アレルギーは、血液検査をしても分からないこともあります。まずはグルテンを避けてみることで、それが関係ないと分かれば、他のアレルギーの検証にも繋がります。
自分の体が何らかのサインを出しているときは、体への負担を重ねないためにもやり過ごさず、きちんと向き合ってあげましょう。

小麦を使わずにお菓子や料理を作る場合、主に次の３つが小麦の代用として活用できます。

➀米粉（米を粉砕したもの）

クッキーやパウンドケーキ、パンなどを米粉で作ると、小麦粉とは違う食感を味わえます。

➁片栗粉（じゃがいもを粉にしたもの）

肉や魚にまぶして衣にするときに使うとサクサクした食感に仕上がります。

➂オートミール（オオツムギ）

オートミールは麦ですが、小麦とは異なる品種のため、小麦アレルギーの物質は含まれません。おかゆとして、また小麦の代用としてクッキーやパンなども作れます。ただし、小麦粉の場合と同量を置き換えてしまうと美味しく作れないため、オートミール用のレシピで作るようにしましょう。

グルテンフリー生活では食の幅が狭まるかと思いきや、実際はさほど変わりません。和食中心にすることで簡単にグルテンフリーメニューを作れますし、トウモロコシの粉を使った料理が多いメキシカン料理はグルテンフリーに向いています。また、インド・タイカレーなど、小麦を含むルーを使わない、スパイスカレーを選べば、カレーを楽しむこともできます。パスタなどの麺類でも、お米や豆で作られたものなどを選べば洋食も今まで通り楽しむことができますよ。今は市販のお菓子でもグルテンフリーのものが増えたため、おやつにも困りません。

グルテンフリーの食材は通常のものと比べ価格は1.2~1.5倍ほどしますが、比較的に添加物が少ない物も多く、病気予防に繋がります。健康への投資や長い目でみた場合の医療費削減になると考えれば、そこまで高くはありません。
毎日食べるものこそ体質に合うものを選び、健康でいられるようにしましょう。