開いていく
2016.07
文:中村幸代
先日、友達とお茶をした時にポツリと彼女が言いました。
『この歳になってようやく気がついたんだけど、心を開いていくって大事だよね』
なぜ、彼女がそんなことを考えたかというと、それは娘さんの小学校の担任教師のお話を聞いたからだそうです。
その先生はかつて青年海外協力隊で活動していた女性で、とにかく明るくて前向き。常に自分をオープンにして生徒一人ひとりの心に近いところに立ちながら、自分の体験を語り『生きていくとは、生かされているとは、大切なものはなにか』をたくさん語ってくれたそうなのです。
彼女は、『自分の考えに閉じこもってしまったら、あの先生のように、多様な価値観で暮らしている世界の人々と分かり合うこともできないだろうし、他人との距離を縮めることも難しい。自分の考えや思いをある程度オープンにしながら、相手も尊重していけるような開いた姿勢でいると、色々なことに前向きになれるような気がしたの』と。
なるほど。実は、私の元々の性格は『閉じこもる』タイプ。若い頃はとくに、他人からどう思われているのか怖くて周囲の目ばかり気にして、ちっともハッピーじゃなかった・・・。でもある時、自分が他人からどう思われているかよりも、“自分がどれだけ相手のことを大切に思えるか”ということが大事だと気が付きました。そう、その時から私は他人の目が怖くなくなって、気持ちがぐんと楽になった。あの時が、私の心の扉が少し開いた瞬間だったと思います。
私が“輝いていて素敵だなあ〜”と思う人は、前向きに為すべきことに力を注ぎながら、いつも周囲の相手を理解しようとする、心に余裕がある人。そんな人は、まさに『開いている』人なのでしょう。そんな人を目指して、今日より明日、明日よりあさって、少しずつでも『開いて』いきたいと思っています。