漢方のチカラ
「My Favorite Things」は、いま、話題にしたい人・もの・コトを音楽プロデューサーの中脇雅裕がご紹介させていただきます。
今回は「生薬の組み合わせで体を整えるー漢方のチカラ」のお話です。
漢方は日本で独自に発展した伝統医学!?
最近、お医者様に血管の問題を指摘されたため、漢方薬を処方していただいています。お陰様で快方に向かっていますが、今回はこの、漢方薬のことについて調べてみました。
「漢方」とは鍼灸や食養生も含めた医学を意味しており「漢方薬」は、漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品のことをいいます。 ちなみに「漢方薬」に対して「民間薬」とは先人から受け継がれてきた、その土地に古くから根付いている生活の知恵などから生まれたものであり、健康増進が目的。また、「サプリメント」は、ビタミンやミネラルなどの日常的に不足しやすい栄養成分を錠剤などの形にした「食品」のことです。
実はこの漢方、中国から伝わったものではありますが、日本人の体や気候に合わせて独自に発展してきた日本の伝統医学なのです。この「漢方」という言葉が定着したのは江戸時代の後期のあたり。オランダから入ってきた「蘭方(ランポウ)」医学に対して、「漢方」と呼ばれるようになりました。
漢方薬は、2種類以上の生薬を、決められた分量で組み合わせて作られています。長い年月をかけ、生薬の組み合わせによってどんな効果が得られるのか、また有害な副作用などないかなどの研究がなされてきました。生薬とは、植物や菌類、鉱物や昆虫などの中から、効き目があるとされた物質を利用しやすく保存・運搬しやすい形に加工したものを指し、その有効成分の働きによって、複数の症状や慢性的な症状などに効果を発揮するのです。
生薬となる植物には、花や果実、種、根、茎、樹皮、葉などがあり、草木によって用いる部分が異なります。 例えば、桃の種を用いた「桃仁(とうにん)」や、葛の根の部分を用いた「葛根(かっこん)」など。
きのこ由来の生薬には「茯苓(ぶくりょう)」鉱物由来の「石膏(せっこう)」なども生薬として利用されます。さらに現在では最新技術により、生薬の持つ薬効を引き出し、服用や保存のしやすい状態への加工がなされるようになりました。
服用の際の注意点としては、漢方薬はお水かお白湯で飲むこと。薬を飲むときと一緒で、コーヒーや牛乳、ジュースと飲むことは避けましょう。もちろんですが飲酒も控えてくださいね。
漢方独特の味が苦手な方は、先に口に水を含み、含んだ水の上に粉を落として、さらにお水で一気に飲み込むと、味を口内に広がらないうちに飲むことができます。
漢方薬は「証」と「気・血・水」のバランスで処方される
漢方薬の処方による治療は、人それぞれの体質や病気の状態などを様々な要素から捉えた「証(しょう)」に基づいて行います。
この「証」とは、簡単にいうと「体質・体力・抵抗力などのその人の状態を表すもの」。
同じ症状でも自分の「証」と他人の「証」が違えば、違う漢方薬が処方されます。
「証」の分け方のひとつに「虚(きょ)」と「実(じつ)」があります。 体力や抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」、体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」といいます。
また、不調や症状の原因を探るためには「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」というものを使います。
漢方では、人の体はこの3要素で構成されていると考えられているからです。「気」とは目には見えない生命エネルギーのことで、自律神経の働きに近いと考えられています。また、「血」とは全身を巡る血液を指し、「水」とは血液以外の体液全般、水分代謝や免疫システムなどに係っているものとされています。 これらの要素がバランスよく体内を巡ることで、体調維持がなされ、反対にバランスが崩れると不調が現れるとされることから「証」と「気・血・水」の状態により、個人にあった漢方薬を処方します。また、漢方薬は複数の天然の生薬で構成されており、多くの成分を含んでいます。そのため、ひとつの処方でいろいろな病状に対応することができ、原因の特定できない慢性の病気や、体質がからんだ病気に向くことが多いともいわれています。
日本においては、一般用漢方製剤として承認基準が制定されているものは294、医療保険の適用のある処方は148あります。
これだけの多くの漢方薬の処方があるのですが、思わぬ副作用を避けるためにも、自己判断で2種類以上の漢方薬を同時に飲むことはやめましょう。漢方薬は副作用が少ないと思われがちですが、成分の重なりには要注意です。
処方に関しては医師、薬剤師などの専門知識のある方に必ず相談してくださいね。
"My Favorite Things" 中脇雅裕 Masahiro Nakawaki
大学在学中より、多くのTV・ラジオのCM音楽を制作。
大学卒業後、財団法人ヤマハ音楽振興会にてポピュラー音楽指導ディレクターとして音楽教育法の研究および講師の研修を担当。
その後、東京に居を移しレコーディングディレクターとして数々のアーティストの音楽制作を手がける。
今までに制作に携わったアーティストはCAPSULE,Perfume,きゃりーぱみゅぱみゅ,三戸なつめ,近藤夏子,Jungle Smile,手嶌葵,古澤巌,中村幸代などジャンルを問わず多岐に渡る。
その他に、映画、CM、各種イベントなどの音楽制作はもとより、イベントプランニング、執筆活動、講演、ラジオDJなどその活動は幅広い。
音楽教育の経験とメンタルコーチングの知識を生かした講演、研修、個人コーチングも行っており現在、サウンド&レコーディング・マガジンに「音楽クリエイターのためのイメージ・トレーニング!」を連載中。
◆オフィシャルウェブサイト http://nakawaki.com/